ピザ屋の彼女になりたい

壁に向かって大声で

そして今日という日も大切な1日になる

3月12日、すごくすごく楽しみにしてた日程であり、できれば来てほしくなかった日程だった。


それが終わってしまった。楽しくて寂しい日が終わってしまった。ああ、終わってしまった。

 

私の大好きな体操選手、内村航平が今日引退した。

 

 

 

 


始まって1発目のオープニングムービーが今までの演技の詰め合わせで、冒頭からボロ泣きしてしまってこれ今日のわたし無事?!?!あと4時間どうなんねん?!??!?!涙枯れる?!?!と思ってたけど、案外演技始まったらエンタメ多めで楽しく和気藹々とした雰囲気で、笑顔で楽しく見れた。体内の水分は無事だった。みんな楽しそうで、見てて嬉しくなっちゃった。


そしてよく考えると試合以外で体操見るの初めてやったな…なんて思ってた。

リオかロンドンかの演技会みたいなのは、内村くんが出れなくなったので結局チケット取ったまま行かなかったし。


点数を待たなくて良い演技が初めてでなんか不思議な感じだった。

エンタメとしての体操、みんな手探りすぎて結構ふわふわしてたけど(小声)でも普段見れない演技が見れたの嬉しかったな〜。


内村くんが楽しそうで、他の選手も楽しそうで、フルの演技構成じゃなくても現時点での最高のパフォーマンスをどの選手もしてて、そこに体操への愛と内村くんへの気持ちが溢れててとても素敵だった。この会場には愛しかないな!!!!って東京体育館ごと包み込みたい気持ちになった。オタクすぐ抱きしめたがる。悪い癖。


ずっと笑顔で演技が見れたけど、最後の鉄棒だけはダメだった。

どんな演技だったとしても多分泣くと思ってたけど案の定ボロ泣きだった。マスクびっちょびちょ。グッバイアイライン。

涙で見えなくなるのはあかん!耐えろ!って思って瞬きすら惜しかったブレットシュナイダー、ばかみたいに高くて綺麗なコバチ、絶対忘れない……というか忘れられないよ……なんて良い演技するのよ。ずるいずるい。ほんま化け物ですわ……


最後の着地は、止まれなかった。ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ。本人は納得してなさそうだったけど、でも私はそれで良かった。ほら、あんまり完璧な演技見せられるとそれはそれで未練残っちゃうじゃないですか。まだやれるじゃん?って、思っちゃうじゃないですか。私の内なる未練タラタラメンヘラババアが顔出しちゃうじゃないですか。

 

やっぱだめでしょ、だからファイナル(引退)なんですって言いながら本人がちょっと笑ってたの見て、なんか安心したんです。不謹慎かもしれませんが。ごめんなさい。ゆるして。

だって、見れるなら永遠に見たいと願ってしまうから。

 


あとは、やっぱりフィジカル的なところは1種目終わるたびにキツそうに見えた。特に後半はかなりしんどそうで、フル構成でなくてもやっぱ辛いんだなぁなんて当たり前のことを感じた。

そんな中最後に6種目通してやってくれた、見せてくれたのかと思うとさらに込み上げてきた。


初めて見た2008年から、14年。14年ってほぼ人生の半分なんですよ。……あっ年齢バレる。計算しないで。

内村航平という選手の演技と共に、私の人生がありました。


高校生の時に北京オリンピック内村航平という選手を知り、4年に一度見る程度だった体操競技が、毎年毎シーズン毎試合きちんと見るものになった。


大学生の頃は眠い目を擦って頑張って起きてオリンピックを見てた。内村くんが金メダルを取ることがとにかく嬉しかった。内村くんの金メダルが、誰よりも輝いてると思った。

東京であった世界選手権、行かなかったことずっと後悔してた。でもそれがあったから、それ以降は生で見れるチャンスがあれば行けるだけ行こうと思えた。

中継が見れない時はTwitterに張り付いて結果を追いかけて、社会人になってからは仕事で見れないことも多くて、後ろ髪を引かれながら出勤してた。

リオは仕事の前に早起きしてギリギリまで見てた。内村くんがこだわっていた団体の金が、本当に本当に嬉しかった。

会社での研修中、休憩のたびにテレビが置いてる部屋に行ってNHK杯に齧り付いてた。

友達との旅行の時も、試合の結果が気になって何度もTLを更新してた。

ある年の世界選手権、仕事終わりにニュースを見たら予選で棄権という文字が見えた。うまく文字が読めなかった。信じられなかった。

そのあとのNHK杯、本当に強くなって帰って来た。かっこよくてたまらなかった。当時転職活動をしてた私にとってこれ以上ない希望になった。この人には、不可能なことなんて無いようにも思えた。

 

なんかほんとに、今日内村くんの演技を見ながらいろんなことを思い出した。書き始めるとキリがないや。

いろんな大会のいろんな演技思い出して、それを見てた当時の自分の状況も思い出して、この人を応援するということがどれだけ私の人生で日常だったのかと思い知った。今日まで、気付いてなかった。


最後の白井くんのお手紙がよすぎてまたボロ泣きした。本当にすごい人ですね白井くんは。指導者として、きっとどんどん活躍する人なんだろうな。


内村くんからの最後の挨拶で、「これからも内村航平という人間を応援してください」「また表に出てくることもあると思う」という言葉にかなり救われた気がした。ホッとした。

 

ああ、よかった。まだこれからも応援させてくれるんですね。

また表舞台で見れるんだね、また会えるんだね、体操に関わる内村航平を私はまだまだ見れるんだね。それが何よりも嬉しかった。よかった。ありがとうございます。

 

 

本当に、楽しい14年だった。

連勝の数が増えるたびに嬉しくて、誇らしくて、普段試合の中継はしてくれないのにそんな時だけニュースにして……とテレビ局に思いながらも取り上げてくれる映像ひとつひとつが嬉しくて録画して、スポーツ新聞で一面を飾れば買いに走った。


演技のことは最初はあんまり分からなかったけど、内村くんの演技を見てたら自然に技を覚えて、好きな技が増えていった。

試合前の記者会見やインタビューの記事を読み漁り、試合で勝つたびにネットニュースをリツイートして、リア垢ではシーズン中の私のTLはほぼ内村航平で埋まってた。その節はマジですみません。


内村くんを応援するうちに他の日本代表の選手まで覚えちゃって、いつのまにかいろんな人の演技を見るようになって、いろんな人のことが大好きになった。

そしてその人達から語られる内村航平という人物がどれもストイックでお茶目で体操が大好きで、エピソードを聞くたびに言葉にならない言語を発してオタクは天を仰いだ。後輩との可愛いエピソード、大好きです。尊。癒し。マイナスイオン


でもそれももう終わり。もう試合のたびに内村航平の名前を探すことはない。

リアルタイムで試合を見るために急いで家に帰ることもない。

予選の結果を見るのが怖いと思うこともない。

どうか怪我だけはしないでと願いながら予選を見ることもない。

落ちないでくれ、掴んでくれと拳を握りしめて胃を痛くさせて鉄棒の演技を見ることもない。

 


うん。めちゃくちゃ寂しいな。

 


今日だけは言わせてほしい。やっぱり寂しいよ。ずっとワクワクさせてくれてた、今度はどんな演技だろう、今度はどんな事をするのだろう、いつもいつも見たことないものを見せてくれてた人がいなくなる。

新たな一歩なのは分かっています。でもね、やっぱり競技者としての内村航平にもう会えないのは寂しいです。

泣くなってのが無理な話よ。長すぎるよ14年は。

 


30年というとてつもなく長い時間、現役を続けてくれてありがとうございました。そう思うとその半分しか私は知らないんですね。でもその時間で、楽しい景色を、心躍る気分を、時には悔しく泣いてしまうような気持ちを、そしてなにより今まで味わったことのないような感動を、たくさんたくさんもらいました。ありがとうございました。

10代から20代という年代で内村航平という選手を通じて味わった感情、私にとって、全てとてつもなく大きな宝物です。

ストイックなところやお茶目なところ、どんな困難も努力という武器で殴り倒していくところ、大好きで憧れでした。力強い言葉を見るたびに背筋が伸びました。

あなたは選手生活は苦しいことばかりだと言っていました。でも、私はあなたを応援していたこの14年、ずっと楽しかったです。私の人生でとても大切な時間でした。

これからも僕を応援してくださいと言ってくれたので、これからも変わらず応援し続けます。内村航平という人間を。そして、あなたが大切に育ててきた体操ニッポンと、それを引っ張る選手たちを。本当に長い間、お疲れ様でした。

 

 


さて、内村航平がいないシーズンが始まる。