ピザ屋の彼女になりたい

壁に向かって大声で

明日はあなたを燃やす炎に向き合うこころが欲しいよ

「なんで?なんでこんなことになったの?」

 

 

 

まるで勢いに任せてやべーことやっちゃった人みたいなセリフですけど、約3か月前の東京五輪の体操男子の予選を見ながら私ははっきり口にだしてそう言ってた。

 

内村選手の鉄棒の落下の瞬間を見ながら。これは本当に現実ですか?

 

 

 

2008年に初めて内村選手の演技を見てから、ずっとその活躍を追いかけてる私です。鉄棒の演技に完全にひとめぼれして、追いかけ続けてきたこの13年。

 

13年て短くて長いですね、13年…義務教育終わっちゃうよ。 まあ途中痛いファンにもなりましてね、その話は一旦置いときますけども。 若いから仕方ないっちゃ仕方ないけどいつも一回痛いファンになるのやめたい。

 

お陰様で幸運なことに、それからの40連勝をすべてリアルタイムで追うことができた。 いつまで無敵状態が続くのか、今回はどんな演技を見せてくれるのか、いつもウキウキしながら試合を見ていた。

ずっとずっとずっと楽しかった。

ずっとずっとずっとかっこ良いスーパースターだった。

尊敬していた。たくさん元気をもらった。

 

就活の面接で「尊敬する人はだれですか」との質問にはいつも「内村航平選手です」と答えるほどだった。 でも今考えたらこれ採用面接においては不正解ですね。アイタタタ〜

 

スポーツ選手って不思議。元気をくれるという点においては、自分の中のカテゴリーではアイドルと近いのかな。

 

だけど、2017年の世界大会で初めて棄権してしまったのを見たとき 「ああ、この黄金期が終わってしまうのか、その時がついに来てしまうのか」という怖さが突然溢れた。 今までそんなこと考えたこともなかった。

 

2016年のリオ五輪の時点で27歳。日本代表として活躍する年数が比較的短い体操選手としてはベテランです。 2020年で31歳。正直言って、もう東京五輪は難しいのではないかと思ってしまってた。

 

でも、2021年の東京五輪の代表に内村選手の名前があった。 体操は6種目こなしてなんぼ、という自分のこだわりを諦め、種目別にシフトして、さらに東京五輪が1年延期になり厳しい状況になっても、世界最高得点をだして出場を決めた。

 

え?これをスーパースターと言わずになんと言う?

 

その時「ああ、この人にできないことはないんだ」って思った。 これがキングであり、レジェンドであり、内村航平なんや。 大好きな内村航平選手が、きっと金メダルを取るんだと思ってた。

だってスーパースターやから。

いままで信じられない景色を見せ続けてくれていたから、今回もそうなんだと信じて疑いませんでした。

 

でも、結果は違いました。予選敗退。・・・え、なんで?

 

 

私は結果を信じられなかった。どういうことか全然意味が分からなかった。

内村選手の努力は報われると思っていた。

SNSや本人のインタビューでしかその活動を知ることはできないけど、東京五輪にこだわって、結果にこだわって、私のような凡人では到底想像できないくらいの練習をしてたことは、なんとなく分かっているつもりだった。

 

だから、今回もきっとメダルを取るんだとなぜか思い込んでいました。

 

その後のインタビューは、見る勇気も読む勇気も無かった。

ただのファンのくせに、どういう気持ちで内村選手を見たらいいかわからず、インタビュアーがきっと聞いているであろう言葉が怖くて、それにどうこたえているのか知るのも怖くて、勝手にいろんなことを書かれているであろう記事も怖くて。

 

いろんな内村選手のファンの方の感想を検索して読んでからじゃないと何も見れなかった。 どうしても自分の中で整理がつかなかったんです。勝手なもんです。勝手なファンです。

 

「報われない努力もある。努力の仕方が間違っているのだと思う」という本人の言葉がとてつもなく重くて辛かった。好きな選手が落ち込む姿は、見たことがなくてかなりきつかった。

 

そんな中での世界体操。見てるほうがかなり緊張して吐くかと思ったけど、決勝の演技はもうとんでもなく最高だった。 (予選は案の定怖くて見れなかった)(後から見た)

 

見たかった内村選手だった。私が大好きな内村選手の姿だった。

最後にきれいな着地が決まってちょっと泣いた。なんてかっこいい人なんだろうと思った。 こんな風に戦う姿を初めて見た。13年見てきて、初めて見る姿だった。

いつも飄々としている姿が好きだった。誰よりも熱く燃やす闘志を見せず、演技中は淡々と、まるで作り物かのように足先まで伸びた、綺麗な演技をしてる姿が大好きだった。

でも決勝で見たのは、気持ちを全面に出して演技をする姿だった。

 

2008年に初めて見た、あのバカみたいに感動した鉄棒の演技と同じぐらい、いやそれ以上に興奮した演技だった。

本人は「リオを思い出す」着地だと言っていたけど、私にとっては今まで見たどの鉄棒の演技よりも美しかった。 動きの一つ一つが力強くて脳みそパンクした。

もう興奮して情緒がおかしかった。ずっと泣いたり笑ったりしてた。いや情緒な。日曜の夜に情緒おかしなってる。

 

結果は6位で、メダルは取れなかった。 でも、内村選手は笑顔でインタビューに答えていて、私はそれが何よりも最高にうれしくてニヤニヤしたあと、涙が出た。いやだから情緒。

 

そんな姿見るの、久しぶりだとな思った。 よかった、苦しい姿はもうない。東京五輪が終わってから、私にとっては長い長い2か月半だった。

 

インタビューで「結果だけじゃないと分かった」と答える姿がまぶしかった。 あんなにこだわってた結果を超えるものをこの人は見つけたんだと思うと、余計にスーパースターやん!って思った。もう本格的に無敵やん!結果出し続けた人がこれを言うの、あまりにもスーパースターじゃないですか?

 

結果にこだわらなくてもできるだけ長く体操を続けてほしいと、ファンとしては思ってた。それを1番願ってた。願ってるつもりだった。

 

 でも、たぶん結果にこだわっていたのは私自身だった。 結果を求めていたのは、演技を見ている自分の方だったのかもしれない。

 

メダルが取れなくても、1位じゃなくても、日本代表で戦わなくても、私は内村選手の体操が大好きだとこの世界体操で改めて思った。

 

軽やかに、でも力強く、そして美しく、何よりも楽しそうに演技する姿を好きになり、ありきたりな言葉ですが元気をもらった。

 

そして東京五輪で気づいたけど、私は内村選手を応援しているうちに、この13年で体操ファンになってた。 体操ニッポンの強さと美しさに、気づいたらすっかりハマって内村選手以外の選手も力いっぱい応援してた。内村選手のいない団体戦も個人総合も、かなり熱を入れて応援してたことに気が付いた。

 

これから内村選手がこのまま引退するのか、現役を続行してくれるのか、たしかに気になる。気にならないなんて、そんなのは嘘になる。

世界体操が終わってからいろんなインタビューを読んだけど、それはこれから決めていくんだろうし、どっちの可能性もあるんだろう。

 

でも、もうどの道を選んでも楽しみだなって思える。

内村選手は「体操は僕そのものです」と言ってた。つまり、体操ニッポンを応援する限りずっと私は内村選手を応援することになりますよね?

 

 オタク、拡大解釈得意なので!!!

ありがとうございます!!!

 

これからもあなたの美しい体操は残り続けるし、後輩に受け継がれていく。

40連覇の記録は消えない。

同じ時代に生きて、その歴史的瞬間を見れたこと、本当に幸せだなって思います。

 

 

テレビの中のあなた、わたしのスーパースター。